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はじめに
個人事業を始めるとき、多くの人が開業前に使用していた車をそのまま事業用としても使用されていると思います。
ガソリン代、車検費用、自動車税、自動車保険、自賠責保険など、車の維持管理に関する費用は「経費」になる事は良く知られています。
でも、車は開業前から使っていたため、事業用に使っても車両本体は経費にならないと思われている人が多いようです。
もったいない!
開業前に購入した車でも
事業に使用していれば「経費」扱いは可能!
です。
プライベートと事業での使用比率(業務按分)を適切に行う必要はありますが、経費として確定申告すれば処理できます。
業務按分とは、例えばプライベートと事業で半々であれば業務按分は”50%”という考え方です。
実際に開業前に購入した車本体の経費化ができました。紹介いたします。
【もくじ】
減価償却費
って?
まず,「減価償却費」を理解する必要があります。
減価償却とは時間がたてば価値が減る資産の事です。
車やアパート・マンションなどは購入した時点でその価値は目減りします。
この「減価償却費」
使ったり支払ったりしたものではないですが、”経費”として毎年計上できます。
それを活用し,アパートを経営する事業者は,購入したアパート費用を新築であれば耐用年数は22年ですので、22年かけて費用の一部として全て“経費”扱いできます。
(残念ながら、土地は対象にはなりません)
車も同様に耐用年数が決められており、その範囲で経費として計上できます。
車の法定耐用年数ですが
・普通車 6年
・軽自動車 4年
車の経費化を実例で紹介します
経費扱いが簡単なものから見ていきましょう。
【新車】
・事業開始後に新車を購入した場合
*事業開始後に新車(普通車)を300万円で購入、1月に購入し100%事業で使用
普通車の耐用年数は6年です。
300÷6=50万円
50万円を6年間,経費として計上可能です。非常に簡単で理解しやすいですね。
【中古】
・事業開始後に中古車を購入した場合
2つの事例で説明します。
*事業開始後に新車登録から4年経過した中古(普通車)を300万円で購入
この場合、法定耐用年数は残り2年となります。
そのため
300÷2=150万円
となり、2年にわたり150万円を経費化できます。
開業後であれば、同じ金額で新車を買うより4年落ちの中古を買う方が、早く経費化できる事がわかりますね。
という事は
事業で売り上げはあるものの、税制上は赤字にできるので、より多くの”所得税還付”をもらえますね。
因みに3年落ちの場合、300÷3=100となり、100万円を3年かけて経費化できます。
*4年落ちの車を120万円で購入、11月購入で事業用に100%使用
ずばりこの計算です。
耐用年数を求める必要があります。
耐用年数=法定耐用年数−経過した年数+経過年数×20%
上記に当てはめると,
-耐用年数は
6年-4年+4年×20%=2年(1年未満は切り捨てます)
-減価償却費は
120万円×2ヶ月(11月と12月)÷12ヶ月=20万円
120万円の中古車を購入した場合、20万円を経費として計上できます。
また、耐用年数が2年の減価償却資産は定率法を選択すると1年で100%償却も可能です。
・事業開業前に購入していた自家用車を事業用としてつかう場合
ここが本題!!
方法は以下の4ステップで計算します。
①【開業前の目減り額】
事業用として使用する前の(プライベートで使用していた)価値の計算。
それまでに使ってしまった、”減価償却費”の計算です。
②【開業前の未償却の算出】
事業開始時点の”未償却の残高”の計算です。
事業開始時に残っている償却可能部分を算出します。
③【開業後の償却の算出】
事業転用時に償却した価値を計算(1年分を計算します)
④【未償却残高】
本年の未償却残高の計算です。
事例でみましょう!
軽自動車を使った事例についてプロセスと実計算で紹介します。
私はこれを活用できました。
*軽自動車(新車)を平成26年10月に158万円で購入し、平成29年の1月から事業用に転用した場合>
①【開業前の目減り額】
-耐用年数
軽自動車の”法定耐用年数”は4年です。
でも耐用年数はそのまま使いません。
耐用年数を1.5倍した6年(4×1.5)の償却率を使います。
耐用年数6年の償却率は0.167
-開業前の償却費の計算
1年間の償却費は旧定額法で求めます。
1,580,000×0.167×0.9=237,474円
となります。
開業前2年間(27年,28年)の車の減価償却費は、
237,474×2年=474,948円
面倒でした?
このあとは簡単です。
(考え方は国税庁HPにも記載があります。平成26年、27年、28年の3年ですが、非業務用の期間に1年未満の端数があるときは、6ヶ月以上は1年とし、6ヶ月に満たない端数は切り捨てるルールです)
②【開業前の未償却の算出】
未償却残高とは、業務開始前の平成28年に残っていた償却可能な残高の計算です。 1,580,000-474,948=1,105,052円
この1,105,052円が今後償却可能となる残高となります。
③【開業後の償却の算出】
開業後(平成29年)の減価償却費です。
業務使用利率(按分)は50%で計算してみます。
償却率ですが、ここからは本来の軽自動車の償却率である”0.25”を使います。
1年間(1月~12月)で使用した場合、以下のようになります。
1,580,000×0.25×1年(12/12)×0.5=197,500円
(約20万円を経費として活用できます!)
④【未償却残高】
未使用償却部分です。
平成29年末での未償却残高になります。
1,105,052-197,500×2=710,052円
車の按分を50%としたので、実際に償却される費用はその2倍。
つまり、毎年2倍ずつ償却され、未償却部分は2倍の速度で消費されます。
(完全に事業用であれば、100%で経費としてできますよ)
翌年以降は、③と④を計算し、最終的に車の未償却残高が1円となったら終了です。
開業前に購入した車について,経費扱いできますのでしっかり活用したいですね。
自分で、 国税庁の「確定申告コーナー」にアクセスすると”減価償却費の計算”ができます。
必要な情報(購入時期、未償却残高、業務按分など)を入力すると、難しい計算は自動でやってくれます。
実際に国税庁のHPの確定申告コーナーで必要事項を入力したら、ぴったりの数字が出てきました。
注意事項として,青色申告の場合”固定資産帳簿”をつける必要があります。
上記の4項目をエクセルなどを使って作成しておく必要があります。
面倒な方はクラウドの計算ソフトがあります。
初期費用が無料などの特典もあります。
車の勘定科目は何?
車の「減価償却費」を求め経費にできましたが,車に関わる費用の勘定科目について悩むところだと思います。
わかりやすいのは、車にかかる費用を経費化するために「車両費」の勘定科目を作製すれば処理は簡単になります。
税金と保険は別に仕分けが必要ですが、ほとんどを「車両費」でまとめる事ができます。
・ガソリン代、洗車代、修理費用,車検代など全部:「車両費」
・自動車税、重量税など税金:「租税公課」
・自賠責保険、任意保険:「保険料」
その他経費となるもの
アパート経営の方は以下を参考にしてください。
開業したばかりの頃は”経費化”できるものを見落としている可能性があります。
事業者としてしっかり経費にできる費用を処理し、利益をあげる努力をしたいものです。
・管理費(管理会社への支払い)
・賃貸管理代行手数料(管理会社への支払い)
・損害保険
・減価償却費(車・アパートなど)
・修繕費(エアコン、給湯器等)
・税金(不動産取得税、固定資産税、印紙代)
・通信費
・接待交際費(不動産や事業関係者との情報交換)
・入居者へのプレゼント(経験なし)
*所得税,住民税は経費になりません。
はげみになります